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「FootBall PRINCIPLES」の感想・レビュー

おすすめされて読みました。

サッカーのチームづくりについて書かれた本なのですが、ビジネスにおける組織づくりや価値観の浸透などにも通じるところがあり面白かったです。

「サッカー批評において、まずは原則があるべきである。その原則からどのような判断がなされたか、その結果どうなったのかという議論がなされるべきである」というのが最初の主張です。

ビジネスにおいても原則はあるわけです。例えば「利益率の低いビジネスは難易度が高い」などです。そこから外れることをやるときには、判断があり、その判断がどういった思考でされたのかを議論すべきである、みたいな感じでしょうか。

また、原則を組織に浸透させることの重要性とその方法が書かれています。正直、方法部分はかなり内容としては薄く、抽象的で、おそらく筆者自身もまだ試行錯誤の最中なのだと思います。

しかし、原則の言語化と浸透の重要性は理解できました。

筆者は元鹿島の岩政選手という正直サッカーファンではないぎり知らない選手だと思います。ただ、名選手名監督にあらずの逆というか、これからのこの人のチームが見てみたくなる一冊でした(選手としても活躍していたほうだとは思いますw)。

読書メモ

失敗の原因が原則なのか、判断なのか、能力なのか

つまり、真にチーム力を向上させる批評・指導というのは「選手の頭の中」が想像できているかどうかにかかっています。

得点や失点というのは単なる現象である。

その際に、判断や能力のみが議論の的になるのは危険である。

まず原則を意識できているのか、

原則はこうだが判断としてはこうした。その判断合っていたと思う。しかし、能力が足りずに失点した。

こういった議論をするために原則が必要である。

その場の判断、その場の能力の話になると、議論の起点がなく建設的な議論ができない。そのために指導者は選手が原則を意識できているか想像することが必要。

中途半端 > 徹底 > バリエーション、バリエーションを出すには原則が必要

つまり、「中途半端」は「徹底」に分が悪く、「徹底」は「バリエーション」に分が悪い

徹底は中途半端に勝るが、バリエーションには劣る。

ユース年代の試合ではとにかく走るチームみたいなのが勝ってしまう。 「走る」徹底が中途半端な他のチームに勝る。

しかし、徹底はある種のウィークポイントを作り出す。要は変化に弱い。パスサッカー => パスを封じられたらどうする?

徹底を超えたバリエーション、どんな状況でもそれにあった選択がとれる状態、にするには原則が必要なのである。

原則と言語化

あるとき、日本サッカー界に大きな影響を与えた監督のひとり、オシムさんのチーム作りにふと、思い至りました。あの、とてつもないチーム──ジェフユナイテッド市原・千葉のことです──はどうやって落とし込まれていったのか。「走るサッカー」と評されてはいたものの、ただ「走れ!」と言い続けたわけではないだろう

つまりいい指導者は、言語化するべきこと、そうではないこと(そのタイミング)をはっきりと理解されているのではないか──。

原則を組織に浸透させる際に、なんでもかんでも言語化してしまうと本当の意味での浸透に到達できない。

練習のオーガナイズや、明快かつシンプルなど言葉で、その状態が勝手に作り出されるようにすべきなのである。

言語化する際は特に注意が必要で、結果の方にフォーカスした言葉使いにすると意図しない効果を生む。

この本の中で取り上げられていたのは「ハーフレーン」。ハーフレーンは、有効にスペースを使うために動き、結果としてそこにいるのであって、ハーフレーンにいればよいのではない。

ハーフレーンは結果である。

どうやって言語化するのか コンセプトワード

「現場にいかに落とし込むか」というテーマについて「言語化の弊害」を、これだけ紙幅を割かなければいけない理由は、多くのサッカー人が安易に言葉を選びすぎていることにあります。

言葉選びは慎重にする必要がある。

そして、わたしは「結局、どうしているのか」。  本書のテーマでいえば、「コンセプトワード」を作ろうと決めました。

共通のイメージが湧きつつ、選手たちの判断の余白が残るようなワードを選ぶ。

NG: ハーフレーンを使え OK: トライアングル → ダイアモンド

ここはかなり概念的で難しい。