教育は、本を読むことができるが、読むに値する本がそれかわからぬ人々を大量に作り出した。
トレベリアンという歴史家の言葉だそうです。
というわけで、たまたま最近何人かに本の探し方、選び方、読み方の話をしたので、ここにも書いておこうと思います。読むに値する本がそれかわからぬ人々、がちょっとでも少なくなると嬉しいです。
本の探し方
私の読書の目的は、新しい視点と知識の獲得なのでこういった選び方をしています。
本屋をぶらつく(新しい視点の獲得)
人にオススメされたりネットで流れて来たりで読む本も多いのですが、私は圧倒的に本屋をぶらついて探しすことが多いです。これは選書にゆらぎをもたらせるためです。
「あなたの周りの5人の平均があなただ」という言葉もあるように、人経由/ネット経由だとどう頑張っても選書に偏りが出ます。
その点本屋はいろんな人に向けて陳列がなされてるので、ぶらつきながらタイトルを見てると意外と気になる本が見つかったりします。
気になるトピックで検索する(知識の獲得)
今まさに「決断の本質」という本を読んでいるのですが、これは組織としての意思決定の精度を上げるためにはどういうプロセスをとるべきか、という悩みに対して「意思決定 書籍」というワードでググって出てきた本です。
自分が悩んでいることはだいたい先人も悩んでいるので、それに対する一定のアンサー本があります。ここで「意思決定 組織 方法」とかで検索して答えを急ぐよりも本を探したほうが結果的に良いこと多いと思います。
本の選び方
見つけた本の中から、読む価値のある本を選ぶ方法です。
目次
当たり前ですがまず目次は見ます。そして著者が言いたい結論と流れを見て、自分が得たい情報と合っているかを考えます。
例えば、目次を見て流れをまとめたときに「Aという問題があり、Bという状況で陥りやすい、それにはCという対処方法がある」みたいになったとします。
そのときに、自分もその本で言われているようなBという状況なのか、またCという対処方法が現実的にとれるのかなどを考えて、合っていれば読むという感じです。
著者を見る
次に著者を見ます。
- その分野に精通してそうか
- 同トピックで複数の本を出版しているか
- 著者のバックグラウンド
1, 2 は本の内容の確からしさ、3は内容に含まれる思惑やバイアスを考慮するために見ます。
ネット上の情報と比較するとイメージが薄いかもしれませんが、本に書いてあることも普通に間違っていたり、偏った思想によって書かれていたりいます。
もちろん同トピックの本を何冊か読めば大枠で何が正しい情報なのか判断可能ですが、なかなかそういった手間もかけられません。ですので、著者の権威性を私はそこそこ重視しています。
発売年、何版目か、中古での流通
売れている本 = 良い本ではありませんが、長く売れている本 = 良い本というのはけっこう合ってると思います。
テーマに普遍性があり、年十年も前から重版が繰り返され、絶版になっていないにも関わらず中古での流通価格も高い本は、一定の人にとって読む価値のある本だということです。
本の読み方
本が出版された思惑に注意する
だいたいの本には出版された思惑があります。自分の考えを世の中に伝えたい、この人のことをもっと知ってほしい、自分の会社をアピールしたい、選挙前なので目立ちたいなどなど。
別にどんな思惑で出版されていてもいいのですが、その本のバックグラウンドや思惑を考慮する必要があります。
例えば、ちょっと前に感想記事も書いた「リーダーの仮面」。この本の著者は識学という会社の社長です。もちろん内容は参考になる部分も多かったですが、どうしても自分の会社での提供メソッドへの礼賛が入るので、その部分は差し引いて読む必要があります。
容赦なく読むのをやめる
これはよく言われていることかと思いますが、読み始めてイマイチと思ったらもったいないと思わずにすぐに読むのをやめましょう。それこそ時間がもったいないです。
また、自分の興味のある章だけを読むのもいいと思います。
読む時間
私の場合は、仕事、育児、その他やりたいことなどがあり、読書に使える時間は限られています。なので本を読む時間は通勤時間、しかも往路のみと決めています(だいたい20分くらい)。
少ないですが、これ以上無理して増やしてもなかなか続かなかった過去があり、この時間に落ち着きました。
20分でも1項目、1章などは読み進めていけるので毎日だと意外と読み進めることができます。
アウトプットをする
私は上記の時間に読んでるので、会社についたら読んだ内容の要約をメモとしてアウトプットするようにしています。
別に読んだ本のすべてを身に着けたり、覚えたりする必要はないと思いますが、要点がなんだったのかを自分の言葉で吐き出すことは記憶への定着をとても助けになります。せっかく読書をするならアウトプットすることをおすすめします。
どの程度の粒度でメモするかですが、そのメモを見ながら人に話すときに背景を含めてスラスラ話せるくらいというイメージで私は書いています。
本を読む努力
ここまで読んでもらってわかると思いますが、私はそれなりに本を読む努力をしています。正直ここまでマジメにやる必要もないと思います。
ただ、本をたくさん読んでおいて損はないと思うので、YoutubeやSNSをの時間を減らして少しでも読書をすることをおすすめします。