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「定着と離職のマネジメント」著: 曽和 利光 の感想・レビュー

読んだきっかけ

会社を運営している人にとって、社員の離職というのは常に頭痛のタネになっていると思います。私はなっています。

なので、こういう系の本はイヤでも目にとまるのですが、この本は社員に留まってもらう方法だけでなく、適切な離職についても論じている本ということで、Twitterで流れてきたのを目にして気になってAmazonで購入しました。

感想・レビュー

まず、元リク本(元リクルートの人が書いた本)なのでリクルートの話です。

本の要旨は、変化の多い時代なので必要な人材はその時々で異なる、適切な人に残ってもらい、適切な人に去ってもらうにはどのようの組織作りや施策をするべきか、という感じです。

これまでの経験の中で感じたことと一定合致していたので、私としては納得感のある内容でした。最近はネットではちょっと揶揄され気味な「で、おまえはどうしたいの?」がリクルート内で用いられる理由なども書いてあっておもしろかったです。

組織づくりについて考えたことがある人なら、論じているポイントについては共感できると思います。また、そこに対する1つの解をくれるので私としては参考になりました。

特に集権と分業をどのようなフェーズで行うべきか、インフォーマルネットワーク(社内ネットワーク)の構築の際にどのような点を意識すべきかという点については、おぼろげだった考えがまとまった感じがしてよかったです。

これは書くべきか迷いましたがめちゃくちゃ誤植が多かったので、本としての信頼性がちょっとゆらぎましたw

読書メモ

0. はじめに
リクルートは、リクルート事件、不動産の借金、紙→ネットへの転換のときにひどい目あったがなんとか乗り越えられた
その理由は戦略的に組織を変化させてきたからだ
その方法について述べる

1. 日本企業が自ら変わり続けるのは難しい理由
事業フェーズによって組織を変える必要がある
なぜならば時代が変化しそれによって求められる組織、人材要件も変わるからだ
しかし、日本では解雇規制があるため欧米のようにレイオフできない
よって組織の変化をより戦略的にやる必要がある
つまりは、
・要員計画、一定の退職率をキープする
・変化強い人材の育成
・会社に依存しない人材の採用
・報酬は市場に合わせて過剰な期待をさせない
ということだ

2. 事業環境で人材マネジメントを変える必要性
事業のフェーズによって適した形態がある簡単に述べると下記である
変革・創造フェーズ
・分権化
・権限移譲
・ゼネラリスト
・中途、プロ
・計画キャリア開発(未来の経営層として計画的に育成する、会社がある程度目にかけてあげる)

業務効率化フェーズ
・集権化
・分業・分担
・スペシャリスト
・新卒
・自律的キャリア開発(社会的貢献が明確、自分でキャリアコースと選べる)

また、要員計画については下記
変革・創造フェーズ
・経営リーダーの意思に基づく
・総合職ポテンシャル
・抜擢、権限移譲による同期づけ
・期待・役割による評価

業務効率化フェーズ
・事業ニーズに基づく
・職種別
・成長、能力開発による動機づけ
・市場価値に連動した評価

3. 自ら変わり続ける組織の本質
じわじわと構成員が入れ替わることである
・一定の退職率をキープする、リクルートは8%でこれより高くても低くてもだめとされていた
・徹底的なポテンシャル採用(程度が極端なポテンシャル)、もちろん合わない人も一定きていたが、そういう場合は潔くやめそうな人をとる
・willの重視、おまえはどしたいの?、そこに責任を伴わせる
・常に成長を求めて、上を詰まらせない、停滞を許さない
・既得権益化させてない評価制度、退職制度

4 インフォーマルネットの必要性
設計されていない人のつながり
インフォーマルネットワークの4指標
・大きさ: はいりやすい、環境、クリティカルマスを意識
・密度: ハブ人材をつかってクラスター同士をつなげる
・活性度: つながってる人同士がより活発に
・方向性: 双方向、特に下から上にながれるように

マネージャー層の相互ネットワークは特に意識する

インフォーマルネットワークできると下記が期待できる
・求心力の向上
・創造性の発揮
・採用力の向上
・コミュニケーションコストの削減

5 インフォーマルネットの構築方法
・入社前につなげる(インターンとか)
・リファラル採用
・部活
・自己開示の場をつくる(ライフネット生命の1時間自己紹介)
・中途同期
・ハブ人材のジョブローテーション
・360度評価、誰が誰を高く評価してるかの可視化

6 採用
志望動機を重視しない
・会社に依存しない人がとれる、志望度は採用担当者が高める
・発言でなく行動/結果を見る面接
・手ぶら聞けるような間口をつくる
・自己紹介が先、ヒアリングはあと

7 評価報酬
・報酬は市場価格に合わせる、社内での不満の払拭、転職の壁にならないようにする、しがみつき社員の防止
・社内固有性が高い場合は多めの報酬設定
・目標管理と評価を切り離す、目標だと期中に変更になったり、商品の売りやすさなどによって不公平感が出る
・ネガティブフィードバックは360度で

8 育成/配置
....

このへんで話の繰り返し感を感じて挫折、10章まである