読んだきっかけ
会社で役員をやっており自分の意思決定の影響範囲がそれなりに大きく、当然、失敗だったなと思う意思決定も多くあります。
失敗の原因を振り返ってみるとやってみるまでわからなかったこともあるのですが、決断を急ぐあまり検討や思考深度が浅いために起きている失敗も多くあるなと感じていました。
そんなことをうっすら思っていたときに、本屋でこの本を見かけたので手にとって見ました。
感想・レビュー
浅く、早い思考で判断を間違うメカニズムとその回避方法がある程度網羅的に書かれており、決断の精度を上げたい人がパラッと読んで、お守り的に目に留まるところに置いておくと自省には役立つと思いました。文体もカジュアルで読みやすいです。また、例題としていろんなケースが取り上げられているのでイメージもつかみやすいです。
一方で認知心理学系の書籍を何冊か読んでいる人だと、思考のシステム1と2の話であったり、因果関係と相関関係の話であったりとどこかで読んだ話も多かったので新しく得られる知識とは少ないかもしれません。私としては1〜4章あたりは新しい視点でしたが、それ以降は知ってる内容が多かったです。
読書メモ
全体 急いで考えると思考のミスがある ゆっくり考えよう ゆっくり考えるコツをおしえるよ 1 前提の否定をする 条件の項目ごとに否定する 2 思考には二種類のモードがある 俗にいうシステム1とシステム2 直感物理学、道徳などの場面 3 早とちりのメカニズム 代表性バイアス 基礎比率をかんがえる 情報の利用可能性に注意 4 言葉 曖昧な言葉、二重の意味でとられる言葉に気をつける 言葉の意味を途中で変える 詭弁によく使われる 言葉の反証可能性を意識する 5 因果関係 因果関係の逆転 他の因果 確証バイアス 心をよむ、人の行動から直感的に意図を類推するときは注意する、変な理由なときもある 6 因果関係と相関関係 教育バウチャー、母乳育児、別れのジンクスの例 因果関係だと思っていたものが実は相関関係で心の原因は別 7 ジレンマへの対処 違う道を選ぶ 選択肢の熟慮し選択の行為のやり方をかえる 選択自体の回避 8 本当の原因を探る マラリアの原因の例 一つだけ条件を変える 9 調査や実験方法の設計の仕方 調査対象の選び方、サンプルサイズ、プラシーボ効果に気をつける